アゼルバイジャンでパインパインなおじさんにATMに連れていかれた話

明日は東京オリンピック開会式ですね、こんにちは、またよしです。

みなさんはアゼルバイジャンという国を知っていますか?
カスピ海ヨーグルトで有名なカスピ海に面した小さな国です。世界地図でみるとトルコの東側にあるこの国↓↓

今回のお話は

「海外で知らないおじさんについていくと怖いよ!」

というお話です。

時は2015年、僕は100万円を握りしめて日本からヨーロッパまで10カ月かけてユーラシア大陸を横断していました。

アゼルバイジャンはお隣のグルジア、アルメニアと合わせてコーカサス3国と呼ばれたりもするのですが、このコーカサス3国は基本貧しい国で、2015年当時スーパーの物価は日本の4分の1程でグルジアではカフェ店員の日給が800円!というぐらい日本と比べると経済的には豊かではない国々でした。

そんな中でも特殊なのはアゼルバイジャン、当時カスピ海で石油が取れたことからアゼルバイジャンの首都バクーだけは経済的にとてもリッチでした。
コーカサス地方ではあまり見かけない高層ビルが立ち並び、街を歩く人々はスタイリッシュな出で立ちで、物価は日本より少し高い程でした。
僕が宿泊したホステルも街で一番安いところだったのですが、ドミトリー1泊で3,500円程したと思います。

当時、僕は一日の旅の予算を2,000~2,500円に設定していたので、アゼルバイジャンの物価の高さはしんどかったです。

そんなこんなでお隣のグルジア(今はジョージア)からバスやタクシーを乗り継いでアゼルバイジャンの首都バクーに着いた初日に事は起こりました。
早朝バクーに到着し、宿に荷物を置き、さっそく街の散策に出かけました。

カスピ海に面していてとても爽やかで都会的な街なのですが、路地を歩いていると「チーノ!チーノ!笑」(中国人またはアジア人への蔑称)と子供たちがからかってくるので、綺麗で都会的だけど、なんか妙に感じの悪いとこだな。と奇妙に思いながらもひたすら歩いていました。
そうこうするうちに街とカスピ海をを見下ろす高台の公園にたどり着きました。

そこには観光客はいなく、地元の人たちがオープンカフェ(といっても外にテーブルと椅子が何個も置かれているだけ)で食事やお茶を楽しんでいました。

そろそろお腹が減ったなーと思い、遅い朝食にしようかと思い、メニューを見たら驚きました。
単純に高かったのです。お隣のグルジア、アルメニアでは一食200~300円も出せば十分美味しい食事が出来たのですが、ここでは1,500円ぐらいします。
すぐ隣の国なのに6倍です。

そこで僕はう~んと悩んでいたら、

「兄ちゃん、どっから来たんだ?」

と顔の濃い固太りで腹がものすごいデブ(とにかく腹がすごい!!)な地元のおじさんから定番の質問が飛んできました。
おじさんは「なにが食いたいんだ?」と僕に聞き注文し席まで持って来てくれました。

腹がものすごいでかいけど、とてもスマートなエスコートでした。
そんなお腹おじさん(以下腹ぱいんおじさん)に遅い朝食をご馳走になりながら他愛もない話をいろいろしました。

その中で特に印象に残っているのは、
腹ぱいんおじさん「一日働いたって2,000円ちょっとにしかならん、大変だよ」
僕「え、そうなん?物価高いのに大変だね」

みたいな会話をしたのですが、ここで
(、、、いや待てよ、そしたらこの二人分の朝食で腹おじさんの日給全部吹っ飛んだのか、それなのに奢ってくれるなんて、なんてホスピタリティのある人だ!)

と少しの疑問もありつつ喜びました。

その後

腹ぱいんおじさん「宿はどこだ?車で送ってやるよ」
僕「いいん?お願いします!」(結構歩いたみたいで宿まで遠いから助かった)

と、そんなこんなで、おじさんの昔の映画に出てきそうな年季の入った乗用車に乗り込み宿まで送ってもらうことになりました。

しかし、
コーカサスはそんなに甘くありません

腹ぱいんおじさんはそのまま僕をATMに連れて行きました。
腹ぱいんおじさん「金を貸してくれ!」
僕「え?」
腹ぱいんおじさん「このATMで金を下ろせるから5万円貸してくれ!」

と、さっきまでとは打って変わってものすごい圧力で迫ってきました。顔も濃いし、腹の圧も凄いし、急展開過ぎて僕はびっくりしました。

(しかもアゼルバイジャン初日でアウェイ、全く知らない場所wifiが無いので自分の現在地がわからない、腹ぱいんおじさんの車の中、よく見たらやばい人の顔つきをしている)

などの現状を考え、とりあえず下手な行動は命とりだなと思い、ATMに行きました。

しかし、そのATMでは僕の使っていた新生銀行カードは使えず(海外では+plusというマークが入ったATMしか使えなかった)、(良かった~)と思いつつ腹ぱいんおじさんに
僕「このATMは使えなかった」
と伝えました。

そしたら腹ぱいんおじさんは
腹ぱいんおじさん「なに!?使えるやろ。もっかいやってみ!」
僕「いやいや無理だって日本のカードじゃ使えないよ」
腹ぱいんおじさん「なんやと!う~ん、う~~ん、、、じゃあさっきの飯代の1,500円返して。」

とせこいお願いをしてきました。

僕はもうめんどくさいので2,000円返し、腹ぱいんおじさんはそのまま車で去っていきました。

これは後から知ったことですが、アゼルバイジャンのバクーでは石油マネーで潤う人達がいる一方、物価は上がるけど賃金は上がらず生活は苦しい人たちもおり、貧富の差は大きく、その溝がバクーの街に流れるあの妙な違和感の正体だったのかもしれません。

今回は結果オーライでしたが、知らないおじさんは危ないですね。
コーカサス地方だからこの程度で済んだけど、これがもし南米やアフリカだったらピストルが出てくる可能性もあるので、みんなは知らないおじさんには着いて行かないようにしましょう。

またよしでした。